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2013-05-10 被災地に対するもっとも確実な貢献 [長年日記]

今回、実家に帰省して、実家の家具の全てに、地震対策用の金具(L金具、鎖、つっぱり等)を設置してきました。

手で動かして揺れるような家具は、地震の時には間違いなく殺人凶器に変わります。

―― てなことは、日本人であれば、耳にタコができるくらい、聞かされていますよね。

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(これも何度かお話しましたが)神戸の震災の時、私はボランティアとして現地入りしたのですが、その時、衝撃を受けた風景が、

■倒壊している家屋は、100%倒壊し(ペチャンコ)

■倒壊いない家屋は、外見上は問題なし(に見える)

という、完全な2値化の結果であったという事実です。

昭和56年以後に建てられた家屋であれば、ペチャンコという倒壊は避けられると思います。つまり、家屋倒壊による即死は免れるだろう、と思います。

とすれば、課題は、家の中にある重量級の家具です。

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金具による固定設置程度の地震対策もしていない、というのは色々理由があるでしょう。

例えば、「金具の設置ができない」「工具を扱える知見がない」というのは、まあ仕方ないと思います。

しかし、最近は、使い易い上に、小さくて軽い電動ドライバーがDIYショップで売られていますので、是非試して頂きたいです。

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私が激怒するのは、「どうせ、家具が倒れるような地震なら、家も潰れてすぐ死んじゃうさ」という言い草です。

そもそも、「すぐに死ねる」と思っている、その「見こみの甘さ」に腹が立ちます。

■トンの単位の荷重で体躯を押し潰されたまま、

■手足を引き千切られ、

■頭蓋の半分が陥没し、

■内蔵が破裂して、臓物が飛散している

というような状態でも、人間は何十時間でも生き続けられます。

人間の生命力を舐めてはなりません。

下手をすれば、捜索時間の上限72時間を越えても、まだあなたは生きているかもしれません。しかも、この世の地獄を味わいながら、です。

加えて、「すぐに死ねる」と言い放ったあなたの為に、貴重なレスキューの人材が割かれて、本当に助かりたい人の命まで失なわれる、と。

あなたが、家具の下敷にならずに、「こっちは、大丈夫だ」の一言言えば済むだけのことの為に、例えば、10人のレスキュー隊 x 3時間 = 30人時間を、無駄に使わせる訳です。

そんな奴は、「今すぐ」死んでくれ。迷惑だから。

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被災地に対して、「義援金を出す」「ボランティアに参加する」ということも大切ですが、もっと確実な被災地に対する真の貢献とは、

「命を賭して、被災地が浮び上がらせてくれた課題に、真摯に対応すること」

だと、私は信じています。

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阪神・淡路大震災の時、負傷者やその家族でごった返す病院のロビーの片隅で、長いすに幼児の遺体を横たえて、

『ごめんね、ごめんね、母さんがあんなもの(たんす)を買わなければよかった』

と、繰り返しながら、幼児の遺体を撫で続けていたという母親に対して、

我々がすべきことは、一辺通りの「慰めの言葉」をかけることだけですか?