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2013-06-29 職業「怪しげな占い師」 [長年日記]

国外のシステムに関する報告書から、そのシステム構成を「看破」するという仕事を行っています。

医療でいうところの「内科の問診」という感じでしょうか。

患者の症状を読み取って、その疾患を推定する(「システム」を「疾患」というのも、何ですが)というイメージです。

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「この機能が分からないとできない」とか「この条件での性能が明かでないと評価できない」とか ―― そういう甘えたことを言うことは許されません。

そんなものが最初から揃っていれば、誰だって「システム構成」を推測できるにきまってます。

武器の研究をしている人は、戦車に使われている「ボルト1つ」で、そのボルトの使われている強度や場所を割り出し、その戦車の機能、性能まで予測ことができるそうです。

私も、「■■会社が、××分野の開発を開始した」という新聞記事のたった一行の記載から、「5年後の市場規模○○億円である」という報告書を作成したことがあります。

「風が吹けば、桶屋が儲かる」を、地でやっているのが、我々研究員、リサーチエンジニアと呼ばれる者たちです。

―― で、その予測は当たるかって?

当たる訳ないですよ。

無理ですよ。不確定要素がどれだけあると思っているんですか。

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我々がプロとして求められている役割は、たった一行の記述から、全体のシステムを推測し、それにもっともらしい理屈をつけて、それを自信タップリに説明するという、一種の「占い師」です。

『先の見えない未来に、「理屈」で筋を通して欲しい』というニーズに答えることが、仕事です。

ただ、未来を「理屈」で筋を付ける努力をしている分、その辺の「占い師」よりは、遥かに誠実だと思っています。

最低限、「自分の予言を自分で信じ切る」という程度の思い込みを持つ程度には、徹底的に真剣に調査は実施していますから。

だから、私自身「怪しげな占い師」であったとしても、クビになることなく、今に至っている訳です。

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で、話を戻しまして、某国のシステム構成を「看破」するという仕事の話に戻します。

大変愉快な報告書です。

定量数値なし、比較対象絶無で、自分たちのシステムを自画自賛、美辞麗句で埋めている ―― これはもう、一種の「才能」と呼べると思います。

このような文章を見ていると、その人の「ひととなり」や、その国の文化や思考形態が読みとれて、興味深いです。

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このような「盛り上がった文章」というのは、「深夜に書いたラブレター」みたいなもので、当事者は今頃、恥しくて、壁に頭をぶつけているかも・・・

いや、しないか。

なんか、いつでも「自信たっぷり」だもんなぁ、あの人たち。あのマインド、本当に羨しい。

いずれにしろ、前述の通り、このような「深夜のラブレター」から、客観的な技術を認定することも、エンジニアの大切な仕事です。

まあ、「面白い」のは確かなのですが、「読み難い」のには閉口しています。