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2023-07-28 ―― 自分の発明を、他人に説明するのではなく、ChatGPTに説明してみたら、どうなるかな? [長年日記]

最近は、特許明細書を、外部の特許事務所に外注することが、普通になってきました。

Recently, it has become common practice to outsource patent applications to outside patent firms.

そんな中、私は、特許明細書の外注はやったことがありません。

In such a situation, I have never outsourced a patent application

なぜなら、『自分の発明を他人に説明するコストがペイしないから』です。

Because 'the cost of explaining my invention to others does not pay off.'

いや、もしかしたらペイするのかもしれません。

No, maybe it will pay off.

正確に記載しましょう。

Be sure to describe it accurately.

『発明を他人に説明するのが面倒くさいからから』です。

'It's because explaining my invention to others is too much trouble.'

例えば、外注する場合でも「図面だけは描く必要がある」などの条件が付きますが、「図面が描ければ、明細書は完成したのも同然」です ―― 少なくとも、私はそう思っています。

For example, even when outsourcing, conditions such as "only drawings of the application" are prepared, but "if the drawings are prepared, the patent application is as good as complete" -- at least, that's what I think.

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で、ふと思ったのですが、

It occurred to me,

―― 自分の発明を、他人に説明するのではなく、ChatGPTに説明してみたら、どうなるかな?

"What would happen if I explained my invention to ChatGPT instead of explaining it to others?"

と思い、ちょっと実験してみました。

So I did a little experiment.

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江端: 「『複数の固定カメラを使って、被疑者を追跡する発明』の特許明細書を書いて」(*)

Ebata: "Write a patent application for 'an invention for tracking a suspect using multiple fixed cameras'" (*)

(*)ちなみにこの発明については、すでに山ほど公知例と製品がありますので、この発明で特許は成立しません。

(*) Incidentally, there is already a mountain of publicly known examples and products for this invention, so a patent cannot be granted.

ChatGPTの回答 (英語翻訳は省略します):

ChatGPT's answer (English translation is omitted):.

===== ここから =======

以下は、架空の特許明細書の例です。特許の内容はフィクションであり、実際の特許を申請する場合は、実際の知的財産法や特許制度に従って正式な手続きを行う必要があります。

【特許明細書】

発明の名称:複数の固定カメラを使って、被疑者を追跡するシステムおよび方法

技術分野:

本発明は、監視および追跡技術に関するものであり、特に、複数の固定カメラを使用して、被疑者の行動をリアルタイムで追跡し、複数の視点からの映像を統合するシステムおよび方法に関するものである。

背景:

従来の監視カメラシステムでは、単一のカメラで被疑者を追跡することが一般的であった。しかし、単一の視点からの映像では、被疑者の行動を完全に把握することが難しく、隠れた場所や視野の死角での行動は捉えられにくい場合があった。本発明は、複数の固定カメラを統合して使用することにより、被疑者の行動をより詳細に追跡するシステムおよび方法を提供する。

発明の概要:

本発明は、複数の固定カメラを鉄道車両内や公共施設、あるいは監視対象のエリアに設置し、これらのカメラがリアルタイムで被疑者を捉える映像を取得する。各カメラは個別に配置されており、異なる位置や角度から被疑者を監視する。取得された映像は、システム内の中央処理装置に送信され、統合される。

本発明の特徴:

複数の固定カメラの配置:本システムは、複数のカメラを異なる位置に配置することで、被疑者の動きをより網羅的に捉える。これにより、監視対象の行動を隠すことが難しくなる。

映像統合のための中央処理装置:取得された複数のカメラ映像は、中央処理装置に送信され、リアルタイムで統合される。この処理により、複数の視点からの映像を同時に閲覧できるため、被疑者の行動をより詳細に把握できる。

自動追尾機能:本システムは、被疑者を自動的に追尾する機能を有している。例えば、被疑者がカメラの視野から外れた場合にも、別のカメラが自動的に追尾を開始することで、連続した追跡が可能となる。

映像解析技術の応用:本システムは、映像解析技術を活用して、被疑者の特定の行動パターンや異常な挙動を検知することができる。これにより、監視対象の不審な行動をリアルタイムで警告することができる。

セキュリティ対策:本システムは、映像の送信および処理において高度な暗号化技術を採用し、セキュリティ対策を強化している。

具体例:

複数の固定カメラを鉄道車両内に設置し、乗客エリアを網羅的に監視する。

中央処理装置が複数のカメラ映像をリアルタイムで統合し、画面分割で表示する。

自動追尾機能により、被疑者がカメラの視野から外れた場合でも、別のカメラが追跡を継続する。

映像解析技術により、被疑者の不審な行動を検知し、センターや運転士に警告を発信する。

以上が本発明の概要および特徴である。本発明により、複数の固定カメラを統合して使用することで、より効率的かつ詳細な被疑者の追跡が可能となり、公共の安全性の向上に寄与する。

===== ここまで =======

『ふーん、ここまでできるのか』と、感心しました。

I was impressed, saying, 'Hmmm, I didn't know it could go this far.'

もちろん、公知例の調査もないし、そのそも特許明細書のフォーマットになっていない(例えば、請求項がない)し、そもそも、内容がショボすぎます。

Of course, there was no search of publicly known examples, and even that is not in the format of a patent application (e.g., no claims), and the content is too shabby to begin with.

けど、もし、

However, if my leader shouts

―― 江端! 審査請求しない「みなし取り下」げで構わないから、とにかく一本書いてくれ。ノルマが! ノルマがぁ!!

"Ebata! I don't care if it's a "deemed withdrawal" that doesn't request a review, write one. I have a quota! My quota! "

と叫ぶリーダを助けるための、『特許を取る意志のないノルマとしての特許明細書執筆』には役に立ちそうです。

It would be useful for "patent application writing as a quota, with no intention of getting a patent" to help the leader who cries "I'm not going to get a patent.

ちなみに、私の勤務している会社の社是は『特許明細書執筆は、技術者の魂』ですので、こんな発言をするリーダがいたら、一発で粛清されます(本当)。

Incidentally, the company policy I work for is "Writing patent applications is the soul of engineers." If any leader were to make such a statement, they would be purged instantly (true).

ん? では、今、"魂"を外注をしているのか・・・うん、この話は、もう止めよう。私の平穏なエンジニア生活の為にも。

Hmm? So we are outsourcing our "soul" now? Let's not talk about this for the sake of my peaceful life as an engineer.

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ともあれ、少なくとも、『当面の間、発明の仕事を生成AIに奪われる心配はなさそうだ』と分かって、先ずは安心しました。

Anyway, I felt a relief to know that, at least 'for the time being, there seems to be no danger of inventive work being lost to generative AI.

私のリタイア後に、発明創成や特許明細書作成業務がどうなろうが、それは私の知ったことではありません。

It is none of my business what happens to others' invention-creation and making patent applications after I retire.