江端さんのひとりごと            「冬山登山への警鐘」  先日の土曜日、嫁さんと二人で向ヶ丘遊園のテニススクールに行ってきた帰 りの車の中、私がT.M.Revolutionの曲を口ずさんで運転をしていると、助手席 の嫁さんが、くすっと笑いながら「よっぽど気に入ったのね。」と言いまし た。  このT.M.Revolutionなるバンドが何者かはよく分りませんし、その曲名さえ も知らないのですが、大晦日に見たNHK紅白歌合戦の時に聞いた、『愛を どーこー言うの?』と言う歌の台詞が気に入ったので、その部分だけを繰り返 し口ずさむようになっていました。  「愛至上主義」的なもので溢れかえっているマスメディアの中にあり、実に 斬新的かつ挑戦的な歌であると思いました。 江端 :「しかしなんだなあ。よくよく考えれば、これは実に野蛮な歌      だな。」 嫁さん:「なんで?」 江端 :「『愛はどうでもいいけど、とにかく寒い』だから『抱き合おう』      だぞ。」 嫁さん:「・・・。」 江端 :「動物だって、そこまではいかんだろう。」 嫁さん:「でも、寒いときは衣服を着ているより、それを脱いでお互いで抱      き合った方が暖かいらしいよね。」 江端 :「どんなに寒くたって、私は『野郎』や好きでもない女性を抱くの      は嫌だぞ。」 嫁さん:「だって、しょうがないじゃん。たぶん耐えられないほど寒い訳だ      から・・。」  その時、私ははっと気が付いたように叫んでいました。 江端 :「そうか!そうだったのか!!そういうことか!!」 嫁さん:「・・・?」 江端 :「ポップスだから気が付かなかったんだけど、これは要するに      『冬山登山の危険性』を大衆に警鐘する為の歌だったんだ。」 嫁さん:「はぁ?」 江端 :「生命に関わる遭難をしたとき、法律で規定されている緊急避難を      適用してもよいのだ。確かに自分の命に関わる緊急事態に、『愛      』をどうこう言う場合ではない!!うむ!確かに!!」 嫁さん:「・・・。」 江端 :「なんてこった。こんな下着も着ないで、いきなり毛皮を羽織るよ      うな妙なシンガーは、非日常的な『雪山登山の危険性』『緊急避      難の適用時の対処』を、そして飽くなき『生命讃歌』を称えてい      たのか!」 嫁さん:「・・・そう、・・・その通りよ。」 江端 :「なんてこった!・・・参ったぜ。こんな若造に教えられてし      まった。」 嫁さん:「そう・・・、よかったわね・・・。」  一人で盛り上がっている私をよそに、嫁さんは物憂げな顔をしながら、車の 窓の外を見ていました。 (本文章は、内容を一切変更せず著者を明記する限りにおいて、自由に転載 していただいて構いません。) 〜〜〜〜 E-mail:See http://www.kobore.net/mailAddress.gif 〜〜〜〜〜 (If you would like to enjoy your life, send message "subscribe kobore" to majordomo@iijnet.or.jp .)