江端さんのひとりごと          「メールのやり取り(その7)」  大学時代からの親友、加藤明人さんとのメールのやりとり. --------------- 私から加藤さんへの御報告 ----------  江端です。  先週の土曜日に、彼女の実家に行って参りました。    職場帰りの彼女を彼女の家の最寄りの駅で拾い、かちかちに緊張して溜め息 を尽きながら車を運転していると、彼女は『大丈夫よ。』と言いながら(実に )楽しそうにころころ笑っていました。 江端:「まだ、わからん。『娘はやれん!』と言われる可能性だってまるっ     きりゼロじゃない!そう言われた後の台詞は全然思い付かないん     だ!!」  「娘さんと結婚させて下さい。」(ちなみに、『娘さんを下さい』と言う のは、絶対におかしい言い方だと、二人の意見が完全に一致したので、この 台詞になった)と言うつもりだったのであるが・・・・。  御部屋に案内されて、さあ、今言うぞ!と思った瞬間に、「江端さん、あ ちらの部屋で着替えていらっしゃいな。」と言う御母上や、食事に入る前に 片をつけるぞ!と思っていると、「ごはんできたよ〜〜。」と言う彼女の呼 び掛けでタイミングを失し、最後に御父上に「(あなたたちは)友達みたい だけど、仲良くね。」と言われてしまっては、何も言う事ができなくなって しまい・・・。  さすがに気の毒に思ったのか、食事の最中に彼女が「江端さん、お父さん に挨拶がしたいって言っていたのよ。」とフォローを貰い、「お嬢さんを 『頂く』のではなく一緒に仲良く暮らして行きたいと思っています。」とだ け言って、なんとか目的を果たす事ができました。 -----  終わってからだから、強気の発言ができるのだけど。 『お嬢さんと結婚させてください。』 『なに〜!貴様のような馬の骨に大事な娘はやれん!出ていけ〜〜!!』 (パリーン!ガッシャン!と食器の割れる音) 『いえ!許して頂くまでは、決してここを動きません!!』 と、額から血を流しながら、土下座を続ける私。  と言うのも、取り敢えずあこがれてはいたが、そんなことにならずに本当 に良かったとしみじみ思います。 --------- 加藤さんから私へのリプライ ---------  加藤です。  この直後の会話の進展が知りたいのですが・・・ --------- そのリプライ ---------  江端です。  普通に御飯を食べて、談笑だけでした。 --------- そのリプライに対するリプライ --------- えーーーーーうそーーーーーーー? なにもなかったのですか?ほんとに?? ・その昔、過激派の中核として活動し、 ・本多勝一を読破し、 ・クメールルージュに身を染め、 ・大学学長室を占拠し、 ・魑魅魍魎の巣窟・壮図寮の寮長として君臨し、 ・シャリーを駆け、 ・下宿を2部屋占拠し、 ・大学自治機能に失望し、 ・担当教授と激闘し、 ・ワンダーフォーゲル部を見切り、 ・冷蔵庫には腐りかけたタマネギを温存して鍵をかけ、 ・おとなのXXXを座右の書とし、 ・北白川ベルシャトーを住まいとし、 ・さんまを焼き、 ・某大企業ソニーを恐怖のどん底に陥れ、 ・押し掛け同棲者に押し流され、 ・不法占拠者と断固闘い、 ・多くの親友と同化し、 ・飛行機での地獄の出張を繰り返し、 ・カストロとも懇意で、 ・DTで暴走行為を繰り返し、 ・松尾荘で隠遁生活を満喫し、 ・インドで生死を分け、 ・博遠サティアンで湿度を操る宗教を興し、 ・なまぱんを2日に1度換え、 ・極寒の風呂屋に通い、 ・恥ずかしい暗記法を極め、 ・りんごダイエットに苦しめられ、 ・学校封鎖を断固敢行し、 ・レーニンに傾倒し、 ・少女漫画を溺愛し、 ・常に複数の女性を愛し、 ・家庭教先の親に気に入られて結婚を勧められ、 ・親の病弱に心泣し、 ・塾生に翻弄され、 ・白糸温泉を愛し、 ・極度の加速感を持つ運転を好み、 ・98LSを操り、 ・SNと頻繁に交わり、 ・そして男にも走った後、 平凡な一家庭を持つに至るという歪めようのない事実を、談笑しなかったの ですか? --------- に対する江端の反論メール --------- ・その昔、大学自治会の選挙で立候補の公示がされている自分の名前に唖然  とし、 ・本多勝一の「中国の旅」にショックを受け、 ・家庭教師の教え子を反戦思想で洗脳し、 ・クメールルージュなんぞに冒された、ポルポトを非難し、 ・大学学長室を占拠した先輩に車で弁当を運び、 ・魑魅魍魎の巣窟・壮図寮の寮長は一年で粛正され、 ・ホンダの原付シャリーはエンジンロックで廃車のやむなきを得、 ・下宿は3部屋占拠し、 ・留年している先輩達のように大学に毎年学費を納めるつもりもなく、 ・担当教授がちっとも私の研究の勉強をしてくれないので大変困り、 ・山に登るならバイトしてヘリコプターをチャーターしたほうが早いと看破  し、 ・訪ねてきた友人に2ヶ月前の生卵を食べさせ、 ・「おとなの格言」を座右の書とし、 ・訪ねてきた女性にさんまを焼いてごちそうをし、 ・不実な対応をしたソニーに対して、不買運動を展開すると宣言し、 ・怪しげな風体をしている不法占拠者に対しては実力行使で追放し、 ・多くの親友には助けてもらい、 ・飛行機を使った予備校講師のアルバイトで現存の江端財閥の基盤を築き、 ・キューバ危機では、フルチショフは全面核戦争を闘うべきであったと信じ、 ・CB−50で暴走行為を繰り返していた友人加藤明人を叱咤し、 ・松尾荘で隠遁生活を満喫したかったのにわざわざやってくる友人にすき焼  を振舞い、 ・インドのデリーを核の100万度の熱で消毒したいと本気で思い、 ・湿度を操る宗教の研究成果として、自動パン焼き機械を作り上げて、 ・加藤氏のマンションに泊まった時だけをおなじパンツを2日履き、 ・極寒の風呂屋に通いサウナと水風呂を3回繰り返す健康法を確立し、 ・未だにその手法がベールに包まれている「恥ずかしい暗記法」を秘伝とし、 ・りんごダイエットでは一月で7キロの減量を達成し、 ・72時間の学校封鎖を断固敢行した時はさすがに検挙されるかもしれない  と思い、 ・レーニンに傾倒したくとも「資本論」は最初の3行で挫折し、 ・少女漫画のおかげで複雑多岐に渡る女性心理の完全理解に成功し、 ・常に複数の女性から愛されつづけ大変迷惑し、 ・一人でスキー修行に行った時、同じ民宿のおじさんから娘を薦められた事  はあり、 ・親の突然の事故と危篤に心泣し、 ・小学生の塾生達に全体主義批判、反管理教育思想で洗脳し、 ・白糸温泉のスキー場ではリフト乗り場に激突し、 ・極度の加速感を持つ運転を好んだ覚えはなく、 ・98LSを80万円で買ったはいいが、今では5万円でも売れず、 ・「SNと頻繁に交わり」とはなんのことか分からず、 ・まして男にも走ったことなど全くなく、 平凡な一家庭を持つに至るという事実ならありますけど、 談笑しながら話せる話題では決してないと思います --------- 加藤明人さんとのメールのやりとり 終わり --------- (本文章は、全文を掲載し、内容を一切変更せず、著者を明記する限りにおい て、自由に転載して頂いて構いません。)