苦節10年。 執筆した特許明細書は、30以上、その分量軽く1000ページを越え、 ばらまいた国は、米国、ドイツ、フランス、イタリア、その他の国々。 各国の拒絶通知対応に費した「休日」は、50日は下ってはいないだろう。 米国で設定登録(特許権の取得)となっても、一銭の金も貰えず、 その取得した特許権で、他の会社をやっつけに行くこともなかった。 闘えば必ずに負けると言う、アンチパテント主義の我が国日本の中で、いつ でも思っていた。 でも、考えないようにしていた。 「一体何の為に、特許明細書を書いているのだろう」と。 ------ 先日、その特許の一つが、日本特許庁において設定登録された。 そして、本日、会社から報償金の連絡があった。 3万6000円 よく聞け! この金は、この金はだなあ! そんじょそこらの3万6000円とは訳が違うのだぁ! 特許庁審査官との命を削る血のバトルの中で、私の血と涙と汗を吸い込んだ 3万6000円なのだ! そして、今後この発明で特許収入があれば、ここに金が入ってくるかもしれ ないと言う、夢を与えてくれる ----- それが、たとえ、スーパージャンボ宝 くじより低い確率であったとしても ----- そういう「特許権様」なのだ。 頭が高い! ここに御座すは、畏れ多くも、日本国特許権「リモート管理装置」様なるぞ! ------ このお金は、誰がなんと言おうが、私のものである。 愛する妻が何と言おうが、可愛い娘たちがどんなものをねだろうとも、断固 として、私は自分の欲しいものを買うぞ。 あの苦しい特許明細執筆の日々を忘れ、拒絶通知の恐怖を脱ぐいさり、日立 の知的所有本部からの激しいフォローを忘却の彼方においやる為にも、自分の 好きなものを買うのだ。 そうだな。 まず手始めに、購入したかったが、高くて手がでなかった、あの本でも買う ことにしよう。 吉藤幸朔著 熊谷健一補訂 有斐閣 「特許法概説」