コロラドで裁判所にひったてられた時に読む文章 02/05/2002 フォートコリンズ在住の日本人の方から、以下のレポートを頂戴致しました。 非常に得難い体験レポートで、恐らく入手が非常に困難な情報の一つである と思います。 公開をお願いしたところ、心よく了承して頂きましたので、ここに掲載させ て頂くこととします。 なお、このレポート執筆者の、捜索、調査、邪推等を、厳しく禁じます。 ------------------------------------------------------------ 交通違反(スピードオーバー)で起訴された友人の友人がいたので、(^_^; その内容をログを兼ねて記述します。 なお文中の私は、その人のことです。 ^^^^^^ 交通違反は市警により摘発、処分されるので、必要な手続きは州や 市によって異なると思いますが、Webに参考になる体験記がほとんど 無いので転載不許可で書いておきます。 違反時の状況: Sheridan市(Denverの南西に隣接)内のバイパスになっている道路 に進入し、その道路を20マイルオーバーで走行中、次の進入口 先頭にいたパトカーに発見された。その先半マイルほどの赤信号 停止中に後ろにつかれ、青信号で発進直後サイレンを鳴らされ 停止を命じられ、交通裁判所への召喚状を渡された。 言い訳(運の悪さ): 1.初めての場所だったので道路状況が把握できていなかった。 (Sheridan市というものがあるというのも後で判ったくらいで Denverだと思っていた) 2.バイパスも後で判ったもので、その時はフリーウエイだと思って おり、合流が安全になるように十分加速していた。 3.バイパスに入った際、本線上の前後に車がおらず、適切なスピード が判らなかった。 4.パトカーがいた次の進入口のすぐ手前に速度標識があり、 そこで制限速度が初めて判ったが、後の祭り。 交通裁判: 2ヶ月後の夕方、市庁舎内の裁判室(法廷)に出頭。 6:00開廷の場合、5:30開室。 入室時、召喚状のチェックと氏名の確認。私の場合、ファーストネームと ファミリーネームの順番が入替わり確認に手間取った。 この時係員に不当申立てをする意思があるかないか聞かれた。 速記者など用意ができたところで判事が着席、裁判所側の順番に 従い、名前を呼ばれ判事前に立ちやり取りする。 実際にはその前に、裁判室に隣接した小部屋に違反者が順に呼ばれ、 市職員(検事相当の役割)と起訴内容についてやりとりする(一種の司法取引?)。 私の場合、初犯だという理由で20マイル速度違反(6ポイント)の代わりに xxxx(良く訳の判らない罪名、3ポイント)にしてあげても良いが、それ(xxxx)を 認めるかと問われた。上記言い訳があったが、違反の事実は自覚して いたので、申し出を受入れる旨を伝え、裁判室に戻る。 数分後、判事に呼出され前に立つ。 記録のため氏名の確認、違反内容の認否の質問(違反日時と内容、 当然xxxxの方)を受ける。 認めると罪状(罰金)が言渡され、それを認めるか質問される。 これも認めるとすぐ払うか否かの質問も受け、すぐ払うと答えると、 裁判が結審する。 裁判室から出ると、すぐ隣の会計窓口の行列(違反者が多いですから)にならぶ。 書類が会計係りに回されており、罰金と事務手数料を込みにしてパーソナル チェックで支払い、領収書(というか結審した証拠である振込み証)を受取る。 チェックのあて先は当然ながらSheridan市。 通訳について: 上記やりとりは全てナチュラルスピードで行なわれ、私の英語力では全く 役にたたなかった(判事、事務官、市職員とも)。 違反直後に会社の連絡役(名は秘す)に相談し、その人からSheridan市へ通訳の 同席要請を連絡してもらったところ、裁判なので市側が公費で通訳を探して くれるとのこと。 その女性と入室時に会い、上記違反の状況や私の紹介(現住所、在米理由など)を 行なった。この女性は60歳代位の日本出身(現在は米国籍)の人で、 ボランティアで通訳登録しているとのこと。 (今回は公費で少額ながら報酬が出た模様) 通訳を頼んでおいてもらって、大変助かった、というのが正直な感想であった。 xxxxについて(不当申したて): 20マイル速度超過違反だと6ポイントにしなければならない。そのため 逆に3ポイントに相当する違反が必要。日本でいうと安全運転義務違反 みたいなものに相当するが、文字通り解釈すると論理的にはありえない 罪。通訳の人も直訳してくれたが、「判らないでしょ。私も判らない。」と 笑っていた。 今回、不当申立てをせずにこの罪を認めたわけであるが、徹底的に戦う 場合には、裁判前にその旨表明すると判事が、上級裁判所へ回す旨の 宣言をするそうである。(その際には召喚状を渡した警官も出席する) 今回の前に集めた交通違反情報での嘘: 1.違反時に振込み用紙を渡され、お金を送金して終わり →違反した場合、どんな場合でも召喚状を渡され裁判所に出頭する必要がある。 2.裁判のとき判事の前に何人か並んで立ち、罪を認めるか聞かれ、それに Yesと答えると違反金を納めて終わり →大まかな流れは正しいが、一人一人判事の前に出て必要があれば申し開き をする。またその前の検事相当役の市職員との交渉もある。そんなに簡単な ものでは無い。さすが主張する国アメリカである。泣き寝入りという言葉は 存在せず、とりあえず主張しなければ損、ということを改めて感じた。 よもやま話 パトカー乗務員: 2人1組で勤務しているのかと思ったが、1人で勤務している。 こちらが外国人で英語に不自由していても、まったくお構いなく ナチュラルスピードで話をして、否応無く召喚状を押し付けてきた。 こちらが犯罪者だと思っていると態度も高圧的であった。 法廷描写(裁判室): 法廷の定員は100人。付添い(家族や友人など)のいる人もいたため、 ほぼ満員であった。実際の出頭者は70人前後か。 裁判室は横長の部屋で、小さな講堂か大きめの講義室の雰囲気。 正面通路をはさんで、左右に長さ7m程の長いすが4列と左右、後ろの壁際に 普通の椅子が並べてある。 講堂の講義席のように判事席があるが、長さはほぼ部屋の横幅一杯で、 一段高い席になっている。判事の後ろの壁左右に国旗と州旗がかざって ある。 被告人は名前を呼ばれ、判事前3mのマイク付き台に立ちやり取りする。 (ホワイトハウスでスポークスマンが原稿を置くのに使っているような台) 被告人: まさに様々。 本人が出席できず法定代理人(要するに弁護士)が宣誓して証言したり、 スーツ姿のエグゼクティブ風な人もいれば、Tシャツ短パンの人、 判事の前でもガムをかんでいた「ねえちゃん」、グランジルックの 仲間連れの高校生、親に付き添われた普通の高校生、夫婦連れ、 家族連れなどなど。 罪状: 盗難車で事故を起こし、手錠、警官付きで被告台の前に立った人もいた。 (判決後また警官に引き立てられていった) また前回の違反で警官に暴力をふるい、その際の罰金を収めていない 見るからに危なそうな風体の人間などもいた。 一方で、保険証不所持で法廷で保険証を見せ無罪になる人もいた。 また停止違反や、右折違反などの人もいた。深刻なのは3ポイントの 違反であるが、累積で免停になる人たちで抗弁も長くなっていた。 難しい罪状の殆どの人が5分程度抗弁し、簡単な罪状の人は2分程度と いうのが平均時間だが、最後の人が終わるのは8時半頃までかかると 思われた。 通訳さんからの情報: 1.米国は車が無いと仕事も生活もできないので、免停中などでも車を 運転して捕まる人も珍しくないとのこと。その場合、かなりの重罪。 2.罰金を払っても記録から落ちている場合もあるので、領収書はきちんと 保管する必要があるとのこと。 3.Sheridanは市が小さいので、裁判はまとめて週1、2回行なわれる。 そのため被告人が多く、かつ罪の軽重にかかわらず一緒に行なわれるとの事。 Denverはもっと頻繁かつ、罪に分かれて行なわれるらしい。 4.月末は予算達成(検挙数)のため、警察の取締りが厳しくなるので注意。 5.飲酒運転は生活上避けにくいが、その際は特に交通法規を遵守する。 (違反をして止められて、そこで発覚してさらに点数が多くなる) 6.Coloradoの違反点数(免停)は1年間で12ポイント、2年間で18ポイント。 それを越す前に有料の講習会を受けたりしなければならない。 また免停になると24時間社会奉仕などもあり、いずれにせよ時間を 取られるので違反しない事が重要。 7.20マイルの速度違反は本来かなり悪質で、行政区によっては今回の ような点数を下げた違反対象としてくれない場合もある。 自動車保険との関係 違反をするとそれが記録に残る。この記録は、自動車保険会社も参照し、 保険料の算定に反映される。すなわち違反歴の多い人、重罪の人は保険の 掛け金もはね上がっていくシステムになっている。 インターステートでも多くの人が制限速度+αで運転しているのは、この 裁判の形態と、保険掛け金という2つの影響が大きいのかもしれない。 以上。