eTrex と Map'n'Go とノートPC で カーナビを作ろう  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ver 0.1 2001/10/12 ver 0.1 2000/12/27 ver 0.0 2000/12/19 江端智一 E-mail:See http://www.kobore.net/mailAddress.gif http://www.kobore.net/ 1. 背景と目的  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 私は、米国でカーナビが売られているのを見たことがありません。 正確に言えば、ないことはないのですが、日本の至れり尽せりのカーナビに 比べれば、玩具みたいな機能しかなく、おまけに高い。 米国では、 (1)道路の名前をベースに住所がつけられているため目的地を見つけやすい (2)道が広く家も大きいので、詳細な位置情報を必要としない てなことが背景にあり、カーナビが不要なのかもしれません。 現在、私は、ハンディGPSレシーバであるeTrexと、GPS Grid対応の地図を駆 使して、会社が提供するリースカーでコロラド中を走り回っているのですが、 東西南北どちらに向っても、30分も車で走れば、全展望360度の地平線が見ら れるこの州では問題がなくても、サンフランシスコやロサンザルスのような都 会では、全く太刀打ちできません。 クリスマス休暇に、ロサンゼルスに観光に行ってきたのですが、ダウンタウ ンのスラム街に迷いこんで、恐ろしい思いをしたり、ロサンゼルスの複雑怪奇 なハイウェイを120kmでぶっとばさなければならない状況の連続で、すっかり 神経を消耗しました。 そんな訳で、「こりゃ、なんとしてもカーナビを作らねばならんなあ」、と 思い立った次第です。 2. 材料  ̄ ̄ ̄ ̄ とりあえず、なるべく安くあげるために、身の周りにあるものを使って作る ことにしました。 (1)既にあったもの - ノートPC Hitachi FLORA 220CX - GPSレシーバ Garmin社 eTrex - 全米地図ソフト DELORM社 Map'n'Go 6.0 全米地図ソフトは、パソコンショップで売っていた一番安く($20)て、GPS対 応を表記してあるものを買いました。 # と言うか、GPS対応でないものを探すほうが難しい。 (2)新規に購入したもの - シリアルI/O用PCカード SOCKET社 S-I/O ($150) - eTrexデータケーブル($35)(*1) 最近のノートPCは、イーサと電話用のモジュールジャックを共用して使える ポートが装備されるようになり、一昔前ならば当然ついていたRS232CのI/Fが ついていません。 加えて、私のノートPCは、WindowsNT4.0がインストールされていたので、NT 対応のシリアルI/O用PCカードを手に入れる必要がありました。 サンノゼ出張の時に、パソコンショップでたまたま見つけたものを買いまし たが、NT対応を標傍しているPCカードには何度も裏切られてきましたので、こ の$150はドブに捨てることになるかもしれん、と悲愴な想いで購入したのを覚 えています。 (*1)車のシガーライタから給電ケーブル付きの、データケーブルも販売されて いるようです。 Garmin PC/CIG EMAP ETREX SUMMIT 667-321-0016 $50EA (3)実験用に準備したもの - モデム ATコマンドが使えれば、何でもいいです。 3. 作り方  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (Step.1) 地図ソフト(Map'n'Go)を、ノートPCにインストールする (Step.2) シリアルI/O用PCカードをアクティベートする 予定通り、一発では動きませんでした。期待していなかったので、がっかり もしませんでしたが。 設定 -> コントロールパネル -> シリアルポート から、全部のCOMポートを削除(つまり、内蔵モデムも無効にする)した後、 シリアルI/O用PCカードを差し込み、さらに実験用のモデムを接続し、NTを再 起動。 再起動後、設定 -> コントロールパネル -> PCカード で、PCカードがアクティベートしていることを確認 再び、設定 -> コントロールパネル -> シリアルポート でCOM1を追加、「標準モデム」等で設定し、ハイパーターミナルからATコマ ンドを打ち込んでみる。ATD117など、適当な電話番号を入力して、モデムが電 話をかけ始めたら、実験は成功です。 これでうまくいかなかったら、後は自力で頑張って下さい(無責任)。 (Step.3) モデムを外して、eTrexのデータケーブル経由でeTrexを継ぐ (Step.4) eTrexの出力データ形式の設定 "SETUP" -> "INTERFACE" から I/O FORMAT を "NMEA OUT"に設定(BAUDは4800が自動選択される) (Step.5) Map'n'Goの入力データ形式の設定 "GPS" -> "Initialze" で、Garmin NMEA(w/Wpt)を選択 (Settingは、"4800,8,N,1"が選ばれる) "Monitor GPS Status" で、現在の位置情報や、その他GPS情報が選択され、 Map'n'Goが、そのままカーナビとして使用できるようになります。 4. 使用感レポート  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 先週末(12/24/2000)に、フォートコリンズから、エルドラ(Eldora)スキー場 に行ってきました。 通常は、車のシガーライタからeTrexにパワーケーブルを継いで、電池を節 約しているのですが、パワーケーブルとデータケーブルのインターフェースが 同じである為、今回は電池で駆動することになりました。 # http://www.rakuten.co.jp/gps/384691/391137/#ETREXCABCAR # が欲しくて、サンノゼの電気屋を散々回ったんですが。 ## 仕方ないので、パワーケーブルとデータケーブルの結合は、休みの日に ## でもやろうと思っていますが、半田ごてとテスターを日本に置いてきた ## のが痛い。 パソコンは、シガーライタからDC/ACインバータ経由で、電源を得ることに しましたが、バッテリーパックを持ってくるのを忘れたので、車に乗り降りす る再に、パソコンの再起動とシャットダウンをしなければならない羽目になり ました。 車のエンジンをかけて、ノートパソコンを起動させた後、Map'n'Goを立ち上 げました。 現在位置(フォートコリンズ)とエルドラを指定して、ルート探索を行なって みました。 速い! 流石はパソコン といっても、私が日本で使っていたカーナビは、富士通テンの「カーマーティ」 で、『GPSとジャイロがついていていれば、後の機能は何もいらない。ディス プレイも小さくて良いから、値段は最低の物を。』と言う条件で、その店に余っ ていて埃をかぶっていて、いかにも在庫処分品と言う感じで無造作に詰まれて いた最後の一台だったのですが。 http://www.kobore.net/tex/alone96/node1.html 車を動かし始めると、地図の上に、車の向いている方向を示す矢印が表示さ れます。矢印は、6秒に一度づつ更新され、軌跡として古い矢印も残っていき ます。ちょっと、この矢印の連続が見苦しいかな、という気がしました。 地図を動かして、常に矢印が画面の中央になるようにことはせず、矢印が 画面の端に来ると、地図画面も自動的にスクロールさせるようです。 しかし、このタイミングがちょっと遅い感じがしました。特に地図の端に曲 り角があるような場合、少し困りました。 スクロール後は、前記の矢印の軌跡が消えて、新しい軌跡を書き始めます。 画面の拡大、縮小は、↑↓キー、横移動は、←→キー で出きます。 運転中の画面変更は、かなり難しいので、このOneキーでの操作は助かりま した。 しかし、画面の上下移動は、ATL + ↑↓キー で行なわなければならず、全 く操作できませんでした。キーバインドの指定が出来るのかもしれませんが、 デフォルトでOneキーを割り当てておいて欲しかったです。 画面の拡大、縮小時に、CD-ROMへのアクセスをしているようですが、横楯移 動時はメモリから取って来ているようです。 ノートパソコンの大きさから、助手席に置くしかなく、フロントガラスから 目が離れるので、安全運転の観点からは、問題ありと感じました。 しかし、助手席のナビ担当がノートPCを操作する、というスタイルなら、全 く問題ないでしょう。 曲り角に来ると、スピーカーから案内の声が聞こえてきているようですが、 音量が非常に小さかったことと、英語であったことから、全く意味はありませ んでした。 しかし、どこで折らなければならないかなどを心配する必要は全然なく、始 めて行く場所であったにも関わらず、安心して運転できました。 勿論、全く道に迷うことなく、エルドラに到着できました。 で、エルドラスキー場は、と言うと・・・、これは、また別の機会にでも。 4. 結論と改善提案  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 4.1 結論 「カーナビ on ノートパソコン」は、有効である。 基本的なカーナビの機能(現在地の判定、ナビゲーション)は、ほぼ問題なく クリアしている。 但し、以下の問題点がある。 - 電源ケーブル、データケーブルの引きまわし - インバータ等の装置等の実装 - ノートPCへの衝撃(動いている車での利用) - ノートPCの配置(助手席では見にくい) 4.2 改善提案 (1) 車載用専用ディスプレイの塔載 ノートPCのディスプレイは使わず、小型のカーナビ向けの液晶ディス プレイを購入し、フロントガラスの所にセット。PCのモニタケーブル 経由で、パソコンの画面を見るようにする。 安全運転に、相当貢献すると思われる。 (2) 10キーの利用 インストールする地図ソフトにもよると思うが、使用頻度の大きいキー バインドを数字に割りあて、地図ソフトの操作をすべて、外付けの10 キーのキーボードで実現する。 運転者が、ノートPCのキーボードを探す必要がなくなり、操作性が改 善されると予想される。 (3) 仮想CD-ROMファイルの利用 『CD革命/Virtual』等を利用して、地図ソフトCD-ROMのイメージを、 そのままハードディスク内に取り込んで利用する。 CD-ROMドライバ等の振動に弱い機器の利用を避けることが出来ると同 時に、地図情報へのアクセス時間の改善も図れると思われる。 以上