御連絡が遅れましたが、すでに帰任して日本にいます。

日本に帰ってきてから精神状態が良くなく、なかなかパソコンに向かう気力が出てきませんでした。

『何故、私はここにいるのだろう・・・』

『実は、まだ私はコロラドにいて、長い夢を見ているのではないか・・』、、と。

駅のホームで、電車が出てしまった後ぼんやり立っている自分に気がついて、驚いたりしています。


本当に多くの時間を、コロラドの大自然の中で過しました。

夏の終りに、麻生を背負って雪の積る崖をよじ登り、標高3000メートルを軽く越える近い山頂の麓の湖畔に立ちました。

冬には、スキー板だけを頼りに、富士山より高い稜線から空に飛び出しました。

リス、プレーリードック、ムース、イタチ、キツネ、タヌキたち。 牛や馬などが道を塞いでも、驚かなくなったことに逆に驚いたりもしました。

地平線の彼方まで続く大地に立ち、この身が痛くなるほど泣きたい程の孤独と郷愁の想いに浸ったあの時間は、----- 私の祖先が、当時のヨーロッパ人達によって土地を奪われたネイティブアメリカンであるということを、疑いもないくらい雄弁に語りかけてきました。

『数百年の時を越え、私は、今、ここに帰ってきた』


フォートコリンズにいたときには、どこからでも見えたロッキーの山々と、抜けるような青空が、ここからは、どんなに背伸びをしても見えないのです。

そのうち、夢遊病にかかった私が、社宅の前の道路で、深夜にふらふらと歩いているのを目撃する人も出てくるでしょう。

この文章を読んでいる、コロラド在住の諸氏。

いつでも必要な時は、いや、必要でない時でもいい。

すぐに私を呼んで下さい。

私は、私のあの故郷に

----- 地平線まで続く大地と、ロングスピークスの山々と、果てしなく広がる青空の下に -----

還りたいのです。

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