2001年4月03日(火) Tomです。 一時帰国時に受けてきた人間ドックの結果、「再検査」の指示を受け、その 間に対応した一連のレポートを提出します。 インターネットを使って、自分の疾患の意味や内容を調べようとしても、全 く手も足も出ず、「どうでもいい情報は簡単に手に入るが、本当に欲しい情報 はどこにもない」と言われる、インターネット世界の脆弱さを思い知った一件 となりました。 上記の内容が嘘だと思う方は、どんな検索エンジンでも結構ですので、以下 の単語を入力して、その内容を調べて見て下さい。 結節影(あるいは、結節陰影) 化骨部 海外赴任者へのメディカルチェックの対応システムが、きちっと整備されて いないようだ、ということも分りましたので、いずれ、このレポートを会社の 総務にも送付し、改善を要求するつもりです。 以下の文章を一読して頂ければ明かですが、「再検査」の指示書受け取りか ら、その内容が判明する一週間は、非常に暗い憂鬱な一週間となってしまいま した。 いずれにせよ、各位、自分の命は自分で守ることを、忘れなきように。 -------------------------------------------------------------------- (1)第一報 ( Fort Collins -> 総合検診センター by FAX) 総合検診センター M 様 HICAM出向(米国コロラド州フォートコリンズ、ヒューレットパッカード社勤 務)中の江端と申します。 私の認識番号に相当するものは、 受診日 2001年3月7日 No.1 江端智一 です。 なお、総務課に問い合わせたところ、個人で対応するように指示され、FAX での質問送付とさせて頂いております。 お忙しいなか、大変ご迷惑とは存じますが、よろしくお願い致します。 ----- 先日、人間ドッグの結果が総務課より転送されてまいりました。 総合健診報告書を読みますと、「再検査の必要あり」との指示がなされてお り、病院にて受信する旨の指示がありましたが、現在、米国勤務中の私につき まして、この件をどのように扱えば良いのか判りません。 「再検査の必要あり」とは書かれていますが、期限が切られておらず、それ が極めて緊急を要するものなのか(最悪「癌」の疑い)、否かが判りません。 緊急に日本に帰国すべきなのかどうかも判断がつきかねます。 アメリカでこのような検査を受けると、かなり高額の費用がかかると言う話 も聞いております。 ----- 上記の状況を整理しまして、以下2点の質問をさせて頂きたく、よろしくお 願い致します。 (Q1)指示して頂いた再検査は、非常に緊急度の高いものであるのか否か この質問の御回答により、私の選択するオプションは以下の通りです。 (a)緊急度が極めて高い、と言う御回答の場合 (i)在籍事業所に「深刻な疾患の可能性あり」と連絡し、再検 査の為の帰国処理、および費用を依頼する。 この場合、誠にお手数とは存じますが、在籍事業所の方にサポート レターの作成をお願いすることになると思います。 (ii)現地(フォートコリンズ)病院、あるいは呼吸器系医院にて、精密検 査を実施する。 現在、現地のエージェントに依頼して、詳細な情報を取りよせてい るところですが、20万円近くの実費(現地伝聞情報)がかかると思い ますが、命に関る事態と判断し、やむを得ないと思っております。 この場合も誠にお手数とは存じますが、英文の診断書(あるいは、専 門用語をお知らせ頂けましたら、私が翻訳します)のご作成をお願い することになると思います。 また、レントゲン写真もご送付頂くことになるかもしれませんが、こ ちらの方は、総務のにご転送頂ければ、総務の方より送らせます。 (b)緊急度は高くない、と言う御回答の場合 (i)日本帰国の際に、日本の病院にて再検査を実施する ただし、現状、日本出張の予定がないため、いつになるか分らないと 言う問題があります。上記(1)の質問にも関わる内容ですが、どの程 度まで、この検査を引きのばして良いか、と言う点が懸案となります。 (Q2)診断結果の内容が示唆する事項は何であるのか 紹介状(添付御参照)に記載されている、胸部X線検査で認められた異常所見 「結節影の疑い(第2肋骨の??部(読めませんでした)」とは、どのような疾患 の可能性があるのか。 インターネット等でも調べてみましたが、確たる内容は分りませんでした (恐しげな疾患名が山ほど出てきましたが)。 私からの質問は、以上2点です。 お手数とは存じますが、至急お返事を頂戴致したく、何卒よろしくお願い致 します。 お電話でも、E-mailでも、FAXでも結構です、時間を指示して頂けましたら、 こちらからお電話することも可能です。 ----- 最後になりますが、決してスムーズとは言いかねる米国での生活で、特に病 院や医師の診断内容は、聞き間違いや誤解などが発生しやすいです。 昨年も家族で十数回ほど病院や医院を訪れましたが、幸いなことに、少なく とも直接命に関わる事項ではありませんでした。 特に今回の場合、診断結果の内容が、私は明確でないこともあることから、 インフォームドコンセントの点からも、日本での診断を希望したいところです。 現在進行中のプロジェクトのスケジュールの兼ね合いもあり、また、コスト (場合によっては自腹を切ってでも帰国しますが)の問題もあります。 「再検査」と言う言葉で、私を含め、家族が大変動揺しております。 早急なお返事と、当方の対応の御指示を、心よりお待ち申しあげております。 -------------------------------------------------------------------- (2)第2報 ( Fort Collins -> 総合検診センター by FAX) 総合検診センター M 様 先日、FAXにて2つの質問をさせて頂きました、HICAM出向(米国コロラド州フォー トコリンズ、ヒューレットパッカード社勤務)中の江端です。(受診日 2001年 3月7日 No.1 江端智一) 3月30日(金曜日) 8:30分現在、まだ御回答を頂戴していないようです。 御多忙の中、このような御面倒をおかけして、本当に申し訳なく思っており ますが、4月1日より、HICAMの医療に関するシステム(受診方式、課金方法等) が変更となることが決定したことに加え、相談を持ちかけている現地のリエゾ ンにも話を急ぎ話を持っていなけばならないこともあり、私の対応が急がれて おります。 前回FAX(3/28/2001 16:30(米国山岳標準時))にて送付させて頂きました、私 の質問(2点)に関しまして、急ぎ御回答賜りたく、あるいは現在検討されてい る最中でいらっしゃいましたら、その旨を御連絡頂きたく重ねてお願い申しあ げます。 繰り返しになりますが、御多忙の中、このような御面倒をおかけして、誠に 申し訳ありませんが、何卒よろしくお願い致します。 P.S. 万一御連絡が上手く届いていない恐れもあると思いますので、私の連絡先を 再度記載させて頂きます。 Hewlett Packard 3404 East Harmony Road M/S A2 Ft.Collins, CO U.S.A 80528-9599 Tomoichi Ebata Tel: 970-898-7792 Fax: 970-898-0664 E-Mail ebata@cnd.hp.com 米国の国番号は"1"です。 現地と日本の時差は、現在16時間です。 e.g. 日本時間 AM 9:00 -> 現地 PM 5:00 (6:00 from 4/1/2001) -------------------------------------------------------------------- (3)第1,2報の回答 ( 総合検診センター -> Fort Collins by FAX) Mr.Ebata 江端智一様 前略。ドックの報告書の件でご心配をおかけしましたことをまずお詫び申し 上げます。最初にお答えを申し上げれば、緊急に帰国される必要はないという ことでございます。 X線写真など画像診断については二人の医師がチェックすることにしており ますが、二人のうちどちらか一人でも疑問に思ったものはそのまま再検査する のを原則としておりますので、海外にいらっしゃって簡単に医療機関を利用出 来ない方にとっては、少し不親切な措置になっていたようでございます。 一応、報告書で言っていることを説明しておきますと、まず結節影とは直径 約5mmから30mmの円に近い陰影を言いますが、どういうものが考えられるかと 言えば、最悪、癌などもあるわけです。また化骨と言っておりますのは、次の ようなことです。肋骨の後端は脊椎骨に間接を作って付いていますが、前端は 前胸部の真ん中にある胸骨に付きます。この部分、肋骨の前端部は骨でなく軟 骨となっていますので本来レントゲンに写るようになったのを化骨したという のです。再検査依頼書で言っていることは、結節影の隣隔と見えるものは、肋 骨の先端部で化骨した軟骨部分と元々骨の部分との境界線がそれらしく見える のかも知れないがと言っています。 それならそのように疑問を呈されたのに、直ぐ再検査しなくてよいのかとい うことですが、江端様が渡米の前に病院の方で健康診断を受けられた時のレン トゲン写真がありましたので、取り寄せて比較しましたところ、その頃とあま り変っていないようなので、癌などを考える必要はないと思います。恐らく、 先程申しました化骨部分との境界線というより、左肺上葉へ向かう血管によっ て作られた陰影で、異常なものではないであろうと思います。 そういうわけで、ほかに帰国するチャンスでもあれば念のため再検査をする ということで良いと考えます。余計な心配をおかけすることになりまして、ま ことに申し訳ありませんでした。以上御報告申し上げます。 早々 2001年4月2日 総合検診センター長 M -------------------------------------------------------------------- (4)(3)への返礼 ( Fort Collins -> 総合検診センター by FAX) 総合検診センター M 様 この度は、御多忙の中、御面倒をおかけした挙句、懇切丁寧な御説明のFAX を頂戴致しまして、心より感謝申しあげます。 「緊急帰国の必要なし」とのご判断を頂き、家族共々安堵の溜息をつくと共 に、私のような素人でも非常に分りやすい報告書を頂きまして、納得できまし たことと同時に、大変勉強になりましたことも重ねて御報告申しあげます。 海外勤務というのは、特に医療関係に関しては、不安に陥いることが多く、 特に家族の病気に関しましては、所在なく困惑するしかないと言う状況が否め ません。 今回のような御回答のレポートが、海外勤務者にとっては大変助けられるも のであったと言うことを御理解頂き、私の今回の一連の御迷惑が、少なからず 後に続く海外勤務者への助けとなれば、と考えております。 繰り返しになりますが、この度は、御多忙の中、御面倒をおかけした挙句、 懇切丁寧な御説明を頂戴いたしまして、ありがとうございました。 以上