第9章 Special Finale



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第9章 Special Finale

キャプテンから合図。この結婚披露宴も最後の大詰めに入る。

式が始まったときの緊張感が戻ってくる

「皆様と楽しく過ごしてきたこの披露宴も、いよいよお開きの時間が近づいて参りま した。ここで、新郎新婦のお二人が、それぞれの相手のご両親に感謝の印の花束を贈呈 したいと申しております。」

会場の明かりが落ちて、新郎新婦とご両親にスポットライトが当たる。

「では、新郎より新婦のご両親さまへ、新婦より新郎のご両親さまへ」

新郎新婦、花束を持って進み始める。私は、新郎よりこの場面では何も言わなくて良 いと指示をされていたので、そのまま見守る。

ご両親が花束を受け取ったところで、大きな拍手をリードして 「お二人が、これからも末永くお幸せで、ますますお元気でご活躍なさいますように 、皆様とお祈りしたいと思います。ありがとうございました。」

と言い終わると、再び会場は大きな拍手で包まれた。

古田さんの父上が両家代表の挨拶をされ、最後に新郎新婦そしてそのご両親が揃って 、出席者の皆さんに深々とおじぎをされたのであった。

ここに全ての披露宴のイベントが終了した。

「ただ今の謝辞を持ちまして、古田家西村家結婚披露宴をお開きにさせて頂きます。」 私が閉宴の辞を述べる。

新郎と新婦、ご両親は会場から退出する。二人は会場の外で出席者のお見送りをする のである。

最後に、司会者の謝辞とお礼を出席者の皆様に申し上げる。

「司会者不慣れのため、何かとお聞き苦しい点も多かったことと存じますが、皆様の ご協力により、無事大役を努めることが出来ました。心から感謝申し上げます。」

「新郎新婦は、」と今後の二人の生活について知らせるのも、大切な役目である。

「当ホテルで一泊された後、車で八ヶ岳に2泊3日の旅行に出かけられます。ちなみ に山登りはされないそうでございます。」

小さく笑いが起こる。

「落ちつかれました11月にヨーロッパへ、イタリアをメインに回られるそうでござ います。なお、お二人の新居は新郎の実家になるそうでございます。」

大きく息をついて、本当の最後の台詞を述べる。

「新郎新婦のご多幸をお祈りしつつ、お開きとさせて頂きます。本日はお忙しい中、 まことにありがとうございました。」

ゆっくりと、そして深々とおじぎをした私に、出席者の皆さんは大きな拍手を送って 下さったのであった。



Tomoichi Ebata
Sun Feb 4 19:11:56 JST 1996